読書感想65  心地よい眺め

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著書       :  ルース・レンデル<o:p></o:p>

 

生年       :  1930<o:p></o:p>

 

出身地      :  イギリス、ロンドン<o:p></o:p>

 

初出版      :  1998<o:p></o:p>

 

翻訳出版     :  2003<o:p></o:p>

 

出版社      :  (株)早川書房<o:p></o:p>

 

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感想<o:p></o:p>

 

 ここに出てくる母親はほとんど狂人と言える。主人公テディ・グレックスの母親もそうだし、もう一人の主人公フランシーン・ヒルの義母ジュリアもそうだ。テディの母親のアイリーンは育児に全く関心がなく、かぎ針編みにだけ熱中している。一方のフランシーンの義母は児童心理学療法士で、8歳の時に実母が殺されたフランシーンのために招かれ、その後義母になった女性だ。フランシーンのすべてを監視し、自由を剥奪し、支配することに一生をかけている。工芸大学の学生のテディは母親と無能でテレビしか趣味のない父親と大酒飲みの叔父と同居している。テディの両親が亡くなって、家の所有権を巡って叔父と争ったテディは、躊躇なく叔父を殺害する。生まれた時から家族中から育児放棄され無視されて育ったテディは、この世のものとは思えない美少女、フランシーンに会い恋に落ちる。しかし、叔父の遺体は叔父の車のトランクに何か月も入ったままだ。フランシーンと会うことを邪魔するジュリアの存在。金のないテディを誘惑しようとする有閑マダム。<o:p></o:p>

 

 もの悲しさが漂っている。愛情を知らない青年は人間もわからないし、良好な人間関係もほしいと思わない。ただ落ちていく。幼年期の悲惨な体験がその人間から未来を奪うわけだ。著者のこの決定論的な考え方が、このミステリーを重苦しくしている。対照的なのがフランシーンだ。ジュリアは幼年期に心的障害を負った人間は立ち直れないと考えている。しかし、フランシーンは立ち直って健全な娘に育っている。二人は明と暗だ。こうしたミステリーはリアルで娯楽として謎解きを楽しむものではない。現代社会の不条理を暴き出すものになっている。<o:p></o:p>

 

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気ままな散歩と読書、テレビドラマの日々。