翻訳 朴ワンソの「裸木」19

翻訳 朴ワンソの「裸木」19<o:p></o:p>
P63~<o:p></o:p>
「良いお父さんだって? 父は亡くなりました」<o:p></o:p>
「そうだったんですか。本当に残念だね、キョンアはお父さんにとてもなついていたようだけど」<o:p></o:p>
「なついていただって? とんでもないです。私は父を憎んでいます」<o:p></o:p>
私は今や完全にバランスを失ってしまった。頭の中が乱れて目眩がして、父にたいする深い愛情と恨みがごちゃごちゃになってしまった。私は泣かないように荒々しくなった。<o:p></o:p>
「なんだい、いきなり」<o:p></o:p>
「父は亡くなったということです。6・25のちょうど1か月前に、平和でのどかな日、息子や娘が臨終を見守る中、安らかに無責任に冷たく私達だけ残して、私だけ残して…」<o:p></o:p>
私は怒鳴った。<o:p></o:p>
彼は初め驚いたようだった。だんだん情け深く憐れんでいる表情がありありと見えた。<o:p></o:p>
私はそれに力を得て嗚咽まで交えて、<o:p></o:p>
「それではやめます。どうしてそんな運が…私はそれからたくさん残酷なことを経験しました。その度ごとにそれでも一生懸命父の助けを祈りました。悪魔も感動するほど切実に祈ったんですよ。父は死んで神が…神まではわからなくても、とにかくスーパーマンになっただろうと信じたからです。それでも父は知らないふりをしていたんですよ。私達のために何もしてくれませんでした。どうしてそんなことが…私は父を憎んでくたびれて、全く考えないことにしたんですよ」<o:p></o:p>
私はやむなくむせび泣いた。彼がますます私を不憫に思うことを望んだ。<o:p></o:p>
「泣かないで、涙をぬぐって、さあ」<o:p></o:p>
彼の両腕が私の両肩をやさしくくるむのを感じると、私はさらに激しくむせび泣きながら、嗚咽の快感に体をゆだねた。<o:p></o:p>
彼が差し出したハンカチに煙草の臭いと絵具の臭いがかすかに漂った。私はそれを貪ろうとするように、彼の胸に全身を投げかけた。<o:p></o:p>
そこは広々としてゆりかごのように安らかだった。申し分ない充足感が来た。その充足感を失うことはできなかった。<o:p></o:p>
「オクヒドさんはいいですか、大丈夫ですか?」<o:p></o:p>
私は胸が少しどきどきするだけでどんな羞恥心も躊躇もなく彼に尋ねた。<o:p></o:p>
「もちろん大丈夫だ」<o:p></o:p>
「本当ですね? 約束です」<o:p></o:p>
私は容易く彼の承諾を得たことが信じられず、彼の小指に私の小指を絡ませて、1度ぎゅっと力を入れて揺すってからほどいた。<o:p></o:p>
そうしてしばらく私は彼の胸から安らぎと充実感を貪った。<o:p></o:p>
「もう行こう」<o:p></o:p>
彼がまず私を抱いたまま身を起こした。<o:p></o:p>
私たちは再び町へ出た。<o:p></o:p>
「少し歩いて行きます。大丈夫?」<o:p></o:p>
私は幸福を少し確認してゆっくり楽しみたかった。<o:p></o:p>
街には人がまばらで、もう雨戸を閉めはじめる店もいくつかあった。<o:p></o:p>
カンテラの灯をつけて焼き栗を焼いて売っている少年が、大きなあくびをしながらのろのろと商品をそろえていた。<o:p></o:p>
「お金、残っていますか? ちょっと焼き栗を買ってくれない」<o:p></o:p>
私は彼の足にもたれたままねだった。私達がその前で止まると少年は大声で、<o:p></o:p>
「あつあつの焼き栗です。とても柔らかいです」<o:p></o:p>
眠りから覚めたように叫んで、きまり悪そうに笑った。<o:p></o:p>
焼き栗の山は冷たく冷えていた。<o:p></o:p>
「別にあつあつでもないな」<o:p></o:p>
オクヒドさんが笑いながらお金を差し出すと、<o:p></o:p>
「ちょっと待ってください。すぐほかほかにします」<o:p></o:p>
少年は白い歯を見せて快活に笑いながら、針金の網で焼き栗を焼くために、冷たい焼き栗をこぼして風炉をかき回した。白い灰の中で火が弱弱しくぱちぱちしていた。
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