翻訳  朴ワンソの「裸木」38

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朴ワンソの「裸木」38<o:p></o:p>

 

122頁1行目~124頁3行目<o:p></o:p>

 

「そうじゃないの、私が心配なことは。実はお姉さんがお昼に言ったことが、私に全く忘れていたことを稲妻のようにぱっと悟らせてくれたの」<o:p></o:p>

 

「何を?」<o:p></o:p>

 

「米国へ行くことを止めても、することがあるということ。例えば、結婚をもう少し具体的に考えたのよ。子供を生もうとすれば、済ませなければならない過程とか。そんなことをそのピエプシと持つということを想像するだけでも身の毛がよだつ」<o:p></o:p>

 

 彼女は眉間をゆがめて顔をしかめた。私は彼女の言葉をよく理解できないまま、ただ疲れるだけだった。<o:p></o:p>

 

「米国へも行きたいけれど、もっと重要なこともあるのよ」<o:p></o:p>

 

「それが何なの」<o:p></o:p>

 

 私は仕方なく一言言った。<o:p></o:p>

 

「男と女との最初の接触がロマンチックなはずだという夢ね。その夢をそのピエプシがめちゃくちゃにして捨てるはずがないじゃない」<o:p></o:p>

 

「あなたは今日一日そんなややこしいことだけ考えていたのね」<o:p></o:p>

 

「いいえ。その考えはお姉さんが〈雑種〉と言った瞬間、一瞬で考えてしまったの。実はそのことはいつも考えていても、私が蓋をしておいたの。浅はかに中途半端に米国へ行くという夢で蓋をしていることを、お姉さんが外してくれただけなの」<o:p></o:p>

 

 私はめんくらって不器用に笑った。私がうまくやったということなのか、できない行動をしたということなのか、推測はできないまま、彼女から放っておかれたいだけだった。<o:p></o:p>

 

「私、終日ずっと米国へ行かなくても下水たまりを抜け出す思案をしたわ。結局お姉さんと議論することにしたの」<o:p></o:p>

 

 彼女は冷えたコーヒーを冷水のようにごくりと飲んでから、いつの間にか頬を赤くしていた。<o:p></o:p>

 

「私、お姉さんの所に行ってもいい?」<o:p></o:p>

 

 彼女はようやく決心したように、意外な提案をした。<o:p></o:p>

 

 私は再び窓に目をやった。暗い裏通りに向いた窓にはどんな風景もなく、ただ私の姿だけがあった。<o:p></o:p>

 

 私は冷たい窓に私の熱い額を重ねた。鼻筋を押しつぶして目をつむった。彼女からも辛い返事からも放っておかれる思案をしようして途中でやめて、そんな取るに足りない思案が面倒で、うんざりして、みすぼらしいガラス窓がガタガタするまで頭を揺らした。再び眠気がもやのように立ち込めてきた。<o:p></o:p>

 

「食事代は出すからね」<o:p></o:p>

 

 いつの間にか私の隣に席を替えた彼女は、私の背中を温かくるんで、まっすぐ耳もとに温かい息でささやいた。<o:p></o:p>

 

 野の花と生まれたばかりの野生動物を、一緒にしたような彼女の独特な体臭が漂ってきた。彼女が下水たまりでもこのような香しい自分に気づかないので、本当にもどかしい。<o:p></o:p>

 

 彼女が立っている土地が下水たまりであれば、私が立っている土地はものすごい旱魃の地だ。けれどもその旱魃の意味を彼女にどう説明するのか? かえって英語で時調(詩)を解説するほうが易しいようだ。<o:p></o:p>

 

 男のことで精力を傾けて辛くなるのは本当に嫌だった。私はしらを切ろうと決心した。<o:p></o:p>

 

「もう行こう。私達の母親が待っているわ」<o:p></o:p>

 

 私は彼女の手をつかんで起こしながら、自分も立ち上がった。<o:p></o:p>

 

「私たちの母親?」<o:p></o:p>

 

「うん、あなたのお母さんと私のお母さん」<o:p></o:p>

 

 私は平気で軽く言った。<o:p></o:p>

 

「お姉さん、私が今話したことを考えてみたの?」<o:p></o:p>

 

「マフラーをしなきゃ。外が寒かったよ」<o:p></o:p>

 

 まずマフラーで頭を巻いて、模範でもしめすように、前頭から額に何重か落としてにこっと笑った。<o:p></o:p>

 

「食事代は出すからね。私もそれぐらいは稼いでいるのよ」<o:p></o:p>

 

「お昼をパンで間に合わせたから、少し空腹だわ。あなたもそうじゃない?」<o:p></o:p>

 

 私は先頭に立って、暗く急な階段を上手に下りた。大通りは寒かった。寒いうえに一人はまったくぞっとした。寒さのために彼女ともう少し親しくしたいけれど、そうすることはできなかった。ある結末をつけたいという気配がありありと見える彼女に、私は断固として〈さようなら〉と言った。<o:p></o:p>

 

 一人になった私は、腹に力を入れて首をオーバーの襟の中に深く埋めた。そしてようやく視線を自分の内部に向けた。首を殻の中に縮めた蝸牛の視界ぐらいだが、暗く狭小な私の視界。しかし、私の融通がきかない視線は、そんな狭い狭い視界だけに戸惑ってはおらず、安息を享受できた。<o:p></o:p>

 

      -続―<o:p></o:p>

 

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