読書感想128  緑衣の女

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読書感想128  緑衣の女

 

著者      アーナルデュル・インドリダソン

 

出身地     アイスランドの首都レイキャヴィク

 

生年      1961年

 

出版年     2001年

 

訳者      柳沢由美子

 

邦訳出版年   2013年

 

邦訳出版社   (株)東京創元社

 

 

 

☆あらすじ★

 

 「床に座った子どもがしゃぶっているものを見て、若者はすぐにそれが人間の骨だとわかった。」という衝撃的な出出しで、このミステリーは始まる。

 

子どもがしゃぶっていた骨は、その幼い8歳の兄が建設現場から拾ってきたもので、きれいな石だと思って洗って妹に与えたものだった。現場はレイキャヴィク郊外の新興住宅地。レイキャヴィク警察のエーレンデュルが捜査を担当することになる。骨は50年以上前のものらしい。現場に来たエーレンデュルはそばの傾斜地に一列に植えられた4本のスグリの木に注目する。そして、かつて戦時中にその場所に一軒のサマーハウスが建っていて、夫婦2人と子ども3人が住んでいたことを突き止める。瀕死の床に横たわっている元のサマーハウスの所有者から、緑色の女がスグリの木のところにしょっちゅう来たという証言を得る。

 

捜査のかたわら、エーレンデュルは「助けて」という言葉を残して姿を消した娘を探して町の中の麻薬中毒者をあたる。ついに見つけた娘は流産して入院している。そんな娘とエーレンデュルとの葛藤の経緯が語られていく。

 

一方、DVを振るう夫との生活を、障害をもった娘と幼い二人の息子のために耐える女の話が語られていく。

 

現代の話は二つで、捜査とエーレンデュルのプライベートについて、そして三つ目は第二次世界大戦中の不幸な女の話。それが交互に語られる展開になっている。

 

★感想★

 

アイスランド的と思っていたもの、猛吹雪のような厳しい気象や豊かな自然、牧歌的な生活ぶり。一方、非アイスランド的と思ったのは麻薬中毒者やDVの存在だ。アイスランドがこんなに都会的な悪に飲み込まれているのか意外だったし、残念だった。

 

アイスランドの名前は馴染みがなく性別がわからないうえにずいぶん長い。ヨーロッパにありながら、ずいぶん辺境的な逸話も盛り込まれている。霊感の強い人が現れるとか。辺境の雰囲気が漂っている。

 

重層的な過去と現在、捜査とプライベートのこんがらがった糸が、ほぐれていって、あるべき所に落ち着いていく。謎が解き明かされるが、終わり方は正しいものが勝つという安心感を与える。

 

★作品の背景★

 

人口30万人のアイスランドという国では、殺人事件は年に2,3件しかなく、アイスランドを舞台にしたミステリーは現実的ではないと思われていたそうだ。1997年にこのエーレンデュル捜査官を主人公にするシリーズが発表されるまでは。このシリーズは本国アイスランドで爆発的な人気を博し、発表する作品はすべて世界的なベストセラーになっているという。シリーズ第3作「湿地」と第4作「緑衣の女」が北欧ミステリー大賞である「ガラスの鍵賞」を受賞し、後者は英国推理作家協会賞(CWA)のゴールドダガー賞も受賞している。

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