翻訳 朴ワンソの「裸木」1
著者: 朴ワンソ<o:p></o:p>
紹介: 1931年京畿道門豊郡で出生、2011年死去。<o:p></o:p>
ソウル大学校文理大学国文科に入学、在学中、6・25戦争で学業を中断した。1970年「女性東亜」長編小説公募で「裸木」が当選し、不惑の年で文壇にデビューした彼女は、以後精力的に創作活動をしながら、その特有の辛辣な視線で人間の内密の葛藤の機微を含み、生の真相を露わにする作風世界を構築した。<o:p></o:p>
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裸木<o:p></o:p>
全集を出すにあたって<o:p></o:p>
しばしば今まで出版した本が何冊ぐらいになるかという質問を受けることがある。正確に応える必要がない場合でも、私はやたらに腹の中で数える顔をしてまごまごする。ワードプロセッサーで字を書いてから何年もたっていても、私は本の冊数をもう一度原稿用紙の枚数に換算する癖が抜けない。何万と数えなければならない原稿用紙の枚数が多すぎて、私はそのまま萎縮してしまった。更にすごいことは、その何万枚を掌よりも薄く軽いプロッピーディスクの中に拾い上げて入れることができることだ。量は決して自慢にはならない。年齢のせいか時々襲ってくる不眠症のせいか、深夜でも何か急な用事のように、60の人生の間のすべてのがらくたを整理する時がある。ひょっとすると高価な物がないか、高くはなくても目の高い物でもあったらいいだろうと思うのではない。私が死んだ後、子供達からお母ちゃんは本当に乱雑でだらしなく生きたという声を聴かないようにしようと、ぜひ必要なものだけ残したいけれど、その境界が曖昧模糊としている。それで努めて整理してしまえば、一層開運値が消える。全集を出版することもそんな整理の一環かもしれない。<o:p></o:p>
この間助力して下さった『世界社』のみなさんにつまらない苦労話を聞かせたようで恐縮しております。<o:p></o:p>
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1<o:p></o:p>
褐色の毛むくじゃらの手がだしぬけに私の鼻先に伸びてきて止まった。彼の手の中に広げられたパスポートの中に長い髪の娘が明るく笑っていた。<o:p></o:p>
「きれいね。」<o:p></o:p>
彼らには少し大げさなほめ言葉を送らなければならないと言うやり方だが、午後の疲れのせいか無意識にくたびれた声を出してしまった。<o:p></o:p>
私の前に立ったたくましいGIは体格よりは感じやすいようだった。たった今広げたのに写真を引っ張るように私の目の前に持ってきて、改めてしげしげと眺めた。やっと安心したのか、またぽかんと口を開けた。<o:p></o:p>
私もこの時を逃さず素早く商売の口調で応対した。<o:p></o:p>
「私が見たどんな女性よりも美しいですね。あなたは幸運な人です。もちろん彼女のために肖像画をお描きにならなければ。いかがですか。この美しい絹のスカーフに描けば。」<o:p></o:p>
私はまず隅に龍の模様を染めぬいた、光沢のある人絹のスカーフを勧めてみた。それは肖像画としては最も収支が合う品目だった。<o:p></o:p>
「ノー。」<o:p></o:p>
彼は口を尖らし首を振るとショーケースに近寄り、肖像画のパターンによって陳列されている様々なサイズの額縁用シルク、スカーフ、ハンカチなどの中から、ためらわず手のひらぐらいのハンカチを指した。<o:p></o:p>
〈このけちん坊〉<o:p></o:p>
私は絵の値段までひっくるめて3ドルしかならない粗末な注文に、また何食わぬ顔をして白黒写真の場合に知っておかなければならない毛髪や目、衣装の色などを事務的に尋ねてカードに記入してから、<o:p></o:p>
「いつごろ取りに来られますか。」<o:p></o:p>
「早ければ早いほど・・・遅くても明後日までには前線に戻らなければならないから。」<o:p></o:p>
〈また難物だな…〉<o:p></o:p>
私は机の引き出しに溜まっている仕事の山を考えて、素早く目で笑いながら話題を変えた。<o:p></o:p>
「短い休暇を心ゆくまで楽しまなければね。前線はどこ。」<o:p></o:p>
「カッテム楊口。」<o:p></o:p>
彼はまるで呪いを吐き出すように大きく顔を歪めた。<o:p></o:p>
「うまくいかなかった。ところで最近の戦況はどうですか。」<o:p></o:p>
気まずいまま私はまた愚かな質問をしてしまった。<o:p></o:p>
彼は口を尖らせたが、肩をゆすって両腕を広げてみせる、ヤンキー特有の知ってどうするのというようなジェスチャーをする。私はとても苦しくなったけれど、依然として嬌態をなくさず、<o:p></o:p>
「いい絵は時間がかかるものですよ。あなたのような忙しい人のために来店の苦労を減らしてさしあげることもできます。私どもがお送りしますから、彼女の住所を教えていただければ、送料は別料金ですが。」<o:p></o:p>
「ノー。送る必要はない。その絵は自分のためのものだから・・・」<o:p></o:p>
「なぜ彼女に送らないの。みなさんそうするのに・・・あなたはガールフレンドを喜ばせたくないの。」<o:p></o:p>
彼はいきなり体全体に奇怪な肉感を漂わせると、<o:p></o:p>
「俺はその絵を彼女の代わりに胸に抱きたいんだ。できるだけ早く。もう理解したかい。」<o:p></o:p>
彼はしわくちゃな1ドル札3枚を投げつけて、<o:p></o:p>
「オーケー。明後日会おう。」<o:p></o:p>
軽快なリズムを口ずさみながら立ち去った。<o:p></o:p>
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