読書感想176  あなただけは許せない

marigold0303

読書感想176  あなただけは許せない

著者      リチャード・パリッシュ

現住      アメリカ合衆国アリゾナ州ツーソン

職業      元検察官で現在は被告側弁護を担当する弁護士。

        本業の傍らリーガル・サスペンスを執筆。

出版年     1906年

出版社     (株)新潮社 新潮文庫

翻訳者     平田敬

 

☆感想☆☆

 アメリカの法律では、犯人を割り出す過程でほんの些細な捜査上の不備によって、犯人だとわかっている人物を起訴できず釈放せざるをえない。では被害者の母親は法律の制裁を逃れた加害者に復讐するのは是か非か。アメリカでは犯行現場で被害者の母親が加害者を射殺するのは正当防衛として扱われる。しかし、釈放された加害者に銃を向けるのは殺人罪に問われる。誰もが銃を持つことが許され、正当防衛で人を撃つことが許されるアメリカ社会だからこそ、こうしたテーマが出てくるのだろう。

 事件はアリゾナ州のソコッツデールの高級住宅地で起きた。離婚してボストンから移ってきたケイトは3歳の娘ジェニファーと、インデイアン居住地から引き取って養育者になっている16歳のドナと一緒に住んでいた。ドナは麻薬と売春でぼろぼろになっていた世界からケイトが救ったのだ。ケイトが若い弁護士のマイクとデートで留守にしているときに事件は起きた。ドナのヒモだったビッグ・ガン・ピートが二人の客を連れて忍び込んできたのだ。麻薬を打たれたドナは抵抗できずに強姦され、隣の部屋にいたジェニファーも強姦された。さらにジェニファーはHIVに感染した。犯人を割り出すためにドナの協力が不可欠だったが、ドナは恐れてビッグ・ガン・ピートの名前を出さない。事件後に養育者としての立場を放棄してドナとの関係を断ったケイトだが、犯人の名前を聞き出すためにドナに会い、修羅場の果てに聞き出すことができた。そして二人の強姦犯人も割り出したが、いざ裁判になると、養育者でないケイトが警察の協力者としてドナから聞き出した行為が違法とされ、犯人たちは無罪放免になってしまった。

 事件が始まる前はあまり面白くなかったが、事件が起きてからはぐいぐい引き込まれる展開だった。アメリカの法律は権力を持つ警察にタガをはめ、人権侵害を起こさないようにしている一方、犯罪者には抜け道が多く有利な点が多い。制度のもつ欠陥や特徴がよくわかっておもしろい小説だった。 

にほんブログ村 写真ブログ 東京風景写真へ
にほんブログ村

にほんブログ村 写真ブログへ
にほんブログ村